英国ナイト

投稿者: | 2018-08-25

2カ月ぶりの札響定期演奏会。
「自分の席」、やっぱ落ち着く。自分の枕で寝るみたいな感じ(笑)。
(24日夜公演)

尾高忠明名誉カントクが2月以来の登板、氏得意のイギリスものを3曲であります。

1曲目、ヴォーン=ウィリアムズのタリスの主題による幻想曲

モーダルなメロディと大胆な和音で、深い森を彷徨うような静かな雄大さを感じる、これぞイギリスと思わさる佳曲です。弦楽5部が大オーケストラと小オーケストラに分かれ、さらに各首席が時にソロを奏でるという編成も見もの。

そこはもちろん札響の弦、その文字通り幻想的な世界観を存分に表現してくれました。座った位置の問題なのか、大-小の対比や奥行き感などはもうちょっと欲しいかなと思わなくもなかったけど、期待した通りの音世界には満足。

ヴォーン=ウィリアムズいいなあ。交響曲もぜひやって欲しいな。

2曲目、エルガーのチェロ協奏曲、そのヴィオラ版という曲です。

曲そのものは、数多あるチェロ協奏曲の中でも屈指の名曲ですが、今宵のはイギリスのヴィオラ奏者、ライオネル・ターティスという人がヴィオラ版に編曲したもの。「編曲したんだけど」と言ってエルガーに聴かせたところ、作曲家が大喜びして出版の手配をしたという逸話がプログラムに載っていますが、いい話ですねえ。

ソリストは、ヴィオラの凄い人・今井信子さん。遠目からは、背中が丸くて、定食屋のおかみさんみたいに見えなくもなく、なんだか親近感が湧きます(笑)(ごめんなさい)。

しかし演奏はやっぱり素晴らしかった。ヴィオラらしい深みと優しさにあふれ、一方ヴィオラらしからぬ?確かなタッチで、細部や弱音の部分もオケに埋もれたりすることなくよく響いてくる。ヴィオラすげえ、って思いました。確かにチェロ版とは印象が違いますが、感動を新たにさせてもらいました。

アンコールを一曲、バッハの無伴奏チェロ組曲から。これもチェロからの翻案ですが、音の包容力というものに、もう、最初の音が出た瞬間から涙が出ちゃいそうでした。ヴィオラすげえ。

休憩のあと、本日のメインディッシュ、ウォルトンの交響曲第1番変ロ短調。

イギリスを代表する作曲家の一人ですが、作曲はほとんど独学だという。図書館でドビュッシーやストラヴィンスキーの楽譜をむさぼり読んだという逸話が、これまたプログラムに載っていますが、Wikipediaによるとシベリウスなんかの系譜でもあった模様。時々、なるほどと思わさる響きが混じります。

いずれにしても、非常に色彩感のある緊密なオーケストレーションと、わかりやすいけど素直な和音はひとつもないという緊迫感をはらんだ佳曲ではないかと思います。(スコア見てみたい)

尾高カントク(って指揮棒持たない人だっけ?)と札響も、1楽章の陰影に富んだ行進や(思わずカッコうぇぇ!と呟く)、2楽章「悪意をもって」・3楽章「メランコリー」の指示にぴったりな曲想、そして終楽章のフーガや、ダブル・ティンパニにタムタムが入るド派手なクライマックスなど、その辺の機微を余すところなく表現してくれて、CDで知っていたより遙かに面白い曲に仕上げてくれました。

ふう・・・てな感じで、2時間、息をもつかせぬいい演奏会でした。

それにしても会場は空席が目立ちましたね。メジャーではないけどいい曲揃いなのに、またいい演奏家、いい演奏のコンサートだったのに、つくづく勿体ないことでした。

*

ロビーコンサートは、これもイギリスの作曲家フィンジの「弦楽合奏のためのロマンス」。大平さん以下、9人の弦楽奏者が、これもわかりやすいけども少し屈折したげな面白い曲を演奏します。

右端のヴィオラ遠藤さんが8月で、後ろのコンバス信田さんが9月に退団されるそうで、そのはなむけも兼ねていたようです。

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