「とっぴんぱらりの風太郎」 感想

投稿者: | 2019-06-16
著者 : 万城目学
文藝春秋
発売日 : 2016-09-02



例によってなぜ読もうと思ったんだったか・・・。

本が届いた時に、想像もしていなかった大部さ加減に目を剥き、「まきめ」って読むのか!と仰天したくらい、なんの予備知識もなく読み始める。

これと言って取り柄のない忍者「風太郎(ぷうたろう)」が、数奇な運命(というか周囲の思惑)に弄ばれていく物語。

時代は、大阪冬の陣から夏の陣。秀吉が死に、家康が攻め上ってくる。戦が終われば用なし、「忍び」には生きにくい世がやって来ようかという頃合いである。

冒頭部分、

・・・三日月がいよいよくっきりと光を放っていた。腰を屈め、夜に背中をこすりつけるように屋根を走る。

なんとイメージ豊かな筆を揮うのだろう、と惹き込まれた。

と言いつつ、主人公に際立ったものがないためになかなか感情移入できず、中盤までは読み進めるのに苦労した。

8章くらいから、遠い伏線をたんねんに拾いながら俄然盛り上がってくるが、最後まで重苦しいものが残った。これァ星2ツだな、と思っていたら、ラストシーンで痺れさせられた。

全体としては、忍びに生きることの難しさ。ひいては人事の図り知れなさが描かれていたかと思う。

一方、「とっぴんぱらりのぷう」ってどういう意味なんだっけ?と思って(作中に説明があるわけではない)調べてみたら、そうそう、つまり「めでたし、めでたし」に相当する言葉なのだった。

はて、そしたらこの結末は、ひょっとしたら忍びの運命としてめでたかった(救いだった)・・・のかも、と思って、また痺れた。

もう一つ、印象に残った言葉を引いておく。

・・・それに人というものは、退屈になるといくさを呼びこむ悪い癖があるからのう。

今、そろそろ人は退屈してはいないだろうか?

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