「あなたの人生の物語」 感想

投稿者: | 2019-10-09
早川書房
発売日 : 2003-09-30



SF短編集。

映画「メッセージ」のなかなか深い世界観がよかったので、原作も読んでみようと思って。

著者はアメリカ人だが、中国系移民の子息だという。

著者のデビュー作でもあるらしい冒頭の「バビロンの塔」は、映画「メッセージ」とも近い、時空を極めて行くと元いたところに繋がっているというテーマか。太極(大いなる極みはつまり無窮に通じる)や陰陽(陽は陰を生み、陰はまた陽を生む)といった中国的思想を反映しているのかも。

表題作で、映画の原作となった「あなたの人生の物語」は、映画と違って(映画はやっぱりアクション要素も必要だろうしね)、過去・現在・未来がただそこにあるものとして描かれている。独特の寂寥感が意外と心地よかった。

一方、「名辞」で泥人形を操る(「七十二文字」)、天使(神)の実在(「地獄とは神の不在なり」)、美醜失認処置(「顔の美醜について」)など、著者独特の世界設定による作品は終止違和感があった、というか気持ち悪かった。こちらは一神教的価値観に楔を打ち込んでいる・・・と思うのはカンタンすぎる解釈だろうか。

著者はまた、物理学やコンピュータ科学の学位を持っているという。SFも「空想科学小説」の枠を超えて、こうした専門知識なくしては描けなくなっているジャンルなんだろう。

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