「社員をサーフィンへ行かせよう」 感想

投稿者: | 2012-07-10

先日パタゴニア店でTシャツを物色していたら、店員さんから「Tシャツも試着できますよぉ!」と声がかかった。

Tの…試着っすか?

折しもちょっと蒸し暑い日で、軽く汗ばんでいて、しかも店員が若いおねーちゃんだったのでよけいに冷や汗をかいていたオレ、まさかTの試着はないべやと内心思いつつ、さすがパタゴニアと改めて感心したものであった。

パタゴニアと言えば、リペアやリサイクルなども徹底しており、客に大変手厚いイメージがある。

なぜそういう風になっているかを、詳しく教えてくれるのがこの本である。

著者はパタゴニアの社長。

社員をサーフィンに…とは、波のいい時には仕事を放り出してちょっと乗りに行ってくるわ!と言える社風でありたいということである。サーフィンに限らず、ヤマ行ってもいいし地域のボランティア活動でもいい。同僚や上司はそれについてとやかく言わない。もちろんその埋め合わせは責任を持ってやる。(要は形を変えたフレックス勤務制か)

パタゴニアはもともとは社長自らが起こした鍛冶屋で、自分や仲間たちが使う登攀用具を作ったことに始まる。

ヘタを打つと命に関わる遊びの道具だけに、半端な開発・製造はできないし、なにより自らがユーザーとして製品の善し悪しを厳しく吟味することになる。(社員の多くがサーファーであり、さまざまなスポーツマンであるのも、そこに由来している)

パタゴニアの真摯なものづくり、手厚い客対応・サービスの精神、地域や環境への熱いまなざしが醸成されて行くプロセスは小気味よいほどだ。いやが上にもパタゴニア社とパタゴニア商品のファンになってしまうくだりである。

次いで語られるのは「パタゴニアの理念」であり、上記のような精神がいかに現在のパタゴニアの経営理念として結実し、実践に移されているかが語られる。ここに至って、この本ってビジネス書であったかと知ることになる。(そういえば本書の副題は「パタゴニア創業者の経営論」)

最後の章は、もつろん環境保護についてである。

ビジネスである以上、環境に対するインパクトがゼロではあり得ないが、それを限りなく小さくして行きたい、という理念と実践である。環境保護こそがパタゴニア社存立のキモであると言うだけに、ここには非常にリキが入っていると感じる。

熱く語られれば語られるほど、あの環境テロリスト・シーシェパードに出資していた事実も思い出しちゃうけどね。

*

余談だがこの本、アメリカ語の原題は「let my people go surfing」という。

偶然「people」という単語を辞書で引いたばかりだったんだけど、この単語は家族や身内を指すニュアンスもあるようだ。日本語では便宜上「社員」と訳すわけだが、それ以上の意味が込められていそうである。

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