「よいクマわるいクマ」 感想

投稿者: | 2018-08-27

のぼりべつクマ牧場での勤務を皮切りに、ヒグマと深く関わって来た著者(前田菜穂子氏)による、ヒグママニュアル。

ヒグマの生態をつぶさに観察し、「対話」を重ねたからこその具体的な教えや対処法が興味深い。

「よいクマわるいクマ」というのはアイヌ目線の言葉であるらしく(途中、萱野茂氏のコメントや対談なども挟まれていて、それも貴重である)、人間が山を歩いている時に冷静に気配を察して立ち去るのがよいクマ、人間や人間の食べるものに興味を持ったり逆上して襲ってくるのがわるいクマということだが、結局わるいクマは、人間の不注意や山での傲慢なふるまいが作るものであるということで、実に身につまされる話である。

不幸にして山でヒグマに出合ってしまったら、絶対に背中を向けない、クマスプレーやナタを持っていなかったら頸動脈を押さえてうずくまる等は(そういう目に合いたくないけど)心しておきたいところだ。

掲載されている写真(ヒグマのいる情景=稗田一俊氏)も素晴らしい。

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「姑獲鳥の夏」 感想

投稿者: | 2018-08-20

「うぶめのなつ」と読む。

うぶめは産女とも書き、人に害をなす妊婦の妖怪であったり、中国の伝承(姑獲鳥=こかくちょう)と結びついて人間、なかんづく幼児の命を奪う化け物であったりする・・・。

とかなんとかも含め、「脳と心のせめぎ合いから宗教や幽霊妖怪の類いが生まれる」といった、激しく理屈っぽいというか余りにも衒学的というかなコンニャク問答から始まっていて、大いに困惑する。え、これって普通の(?)怪異譚、伝奇小説じゃないの? 夏のひととき、ちょっとゾっとしてみようかと思ったのにぃ・・・って感じ。

とても読み通せないかと思ったが、まあなんだかんだ読了。(京極夏彦氏一流の「サイコロ文庫」で、一冊600ページくらいあるが)リズムに乗ったらまずまず面白く最後まで読めた。

探偵が出て来たり、謎解きが筋であったり、ミステリーではあるんだけど、やはり前後のうんちくが主眼というかキモになっている。超常チックな設定もあるが(探偵の能力とか)、総じて怪異に合理的説明がつく内容になっていてコクがある。

読後によく調べてみたら、京極夏彦氏のデビュー作だった。

ページごとにパラグラフが終わっている(見開きの終わりは必ず「。」になっている)のも特徴とか。

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「イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか」 感想

投稿者: | 2018-08-18

イタヤカエデに限らず、いろいろな樹木の生存戦略の不思議さ・面白さをつづった本。

イタヤカエデの節約指向、カラマツは針葉樹なのになぜ落葉するのか、といった感じで、タブノキという北海道人にはあまり馴染みのない木を始め、ミズナラやオニグルミ、ヤマザクラ、モミ、ニセアカシアなどの「なくて七癖」(本人たちにとってはもちろん死活問題なのだが)が大変面白い本だった。

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「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」 感想

投稿者: | 2018-08-15

ティム・バートン監督、2016年、アメリカ。

どうも、こういうファンタジーが好きみたいだ^^;

始めホラーコメディかと思い、だんだん「夢落ち」系の(現実には起こっていない)ダークファンタジーかと思い、結局なかなか痛快な冒険譚・友情譚になっていく。

エヴァ・グリーン(ミス・ペレグリン)の大きな目、サミュエル・ジャクソン(敵の魔物)の怪演などに目を惹かれるし、「奇妙なこどもたち」もTVで予告編を見た時には「何じゃそりゃ」としか思わなかったのに、けっこう魅力的に造られている。かなり気に入った(笑)。

1943年(物語の主な舞台)や「ループ」と現在の位置関係がだんだんわからなくなってくるなど、ちょっとストーリー的に「迷子」になりそうなのは確か。

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「乱」 感想

投稿者: | 2018-08-14

黒澤明監督、1985年、日本。

武満ナイトの時に「観なきゃ」なんて言ってたのに、半年経ってようやく観た。音楽は、演奏も含めて確かにいいですね。

黒澤映画の金字塔のひとつ。ある戦国武将が、ふとトシを感じて、3人の息子に家督や城を譲るが、3人は父への思いやそれぞれの思惑があり、非業なラストに向けて走り始める。

乱とは、乱世・乱心などの意味もあろうけれども、人の心の不如意さ、ちぐはぐさを表しているのかも知れない。

仲代達矢が何と言っても凄演(ちょっと舞台的というか、演技しすぎのキライがないでもない)。あと、原田美枝子(長男の正室)がよかった。ピーターは案外だった。

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「疑似科学入門」 感想

投稿者: | 2018-08-11

これはナンだ、大槻センセの「最終抗議」の系譜だなあ。もう少し冷静でアップツーデートではあるけれど。

スピリチュアル系のあれこれや、「水素水」などの科学の意図的な誤用、科学的知見のグレーゾーンを決めつけて乱用・悪用する、といった、現代社会に蔓延する「疑似科学」を分類し、それぞれをあげつらう本。

カルト教団やサプリまがいなど実害の発生しそうなものへの警告は分かるが、それらの担い手(送り手・受け手両方)はこういう本には目を向けないだろうし、目を向ける人にとってはいささか世知辛い議論になっている。

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「生物から見た世界」 感想

投稿者: | 2018-08-06

時々こう、思うんだけど、例えば、高いところにあってカミさんが届かないものに、身長差でオレは届いたりするでしょう。身体感覚が違えば空間認識も違う。認識が違えば精神形成ももちろん異なる。自分と他者との違いって、そういう抜本的なレベルから始まっているんだろうな、と。

まして異種族ならなおさらではないか。よく、動物や昆虫と人間が喋ったり仲間になったりするけど(映画とかで)、いや、それ絶対ムリだから。宇宙人と意思疎通とかも、あり得ないと思う。

そんな素朴な肌感覚に、科学的な照射を当ててくれるのがこの本。1934年に、ドイツの生物学者ユクスキュルが書いた。生物・・・昆虫、みみず、鳥などなどの目から見た世界、世界の見え方、あるいは何が見えないかについて論じた科学啓蒙書である。そう、思いもよらないものは、見えすらもしないのである。

学術的な知見としてはいささか古い内容もあるようだけど(ハエの複眼の構造とか)、科学者の思考実験・・・というより科学者がうたた寝の間に見た夢といった、ちょっと不思議な趣があった。

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映画のリスト

投稿者: | 2018-08-01

かれこれ20年以上前から細々と書き足している「観たい映画のリスト」があるんだけど、映画を観る趣味がそもそもなくて、リストは長くなる一方だった。それが近ごろ何だか、動画配信サイトでも使って観てみようかな・・・と思うようになった(どこまで続くかわからんけれど)。

観たら、以下にタイトルをアップして行きたいと思います。


★★★:素晴らしい!もっかい観たい
★★☆:いいね!語り草
☆☆:納得。損はなかった
☆☆☆:う~ん?

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「寺山修司全歌集」 感想

投稿者: | 2018-07-31

 
マッチ擦るつかのまの海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや
 

など、胸をえぐられるような歌もありつつ、事前に期待?したような、ページをめくるたびハっとさせられるということではない。

血とか墓とか盲目とか、ショッキングな単語を使い、卑近なものと遠いものを結びつけるというような技巧・・・短歌の中でどう表現するか、という形骸に囚われている感じもする。若書きとも言えるのだろう。

「全歌集」というのは寺山自身がつけたタイトルらしく、跋文にあるように、自身の(歌の)墓標であるという。つまり「歌はこれで棄てた」という覚悟のようなものがむしろ印象的であった。

つくづく、歌は生き様そのものなのだ。

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