●手前(てまえ)

馬が駆足で走るとき、右前脚が左前脚より前に着地して走ることを右手前といい(逆を左手前)、右手前から左手前に変えることを「手前を変える」という。
これは左後脚を大きく踏み込んで大地を蹴るための推進作用からくる歩法で、左前脚の場合も同じ。
レース中、同じ手前で走り続けると片脚だけが疲れてしまうため、騎手が意図的に手前を変えてやると走力が持続する。
それでは馬は右利き・左利きどちらだろうか。普通はどちらでもこなすのだが、なかには先天的に「右利き」とか「左利き」という馬もいる。ただ言えることは、動物は大体心臓が身体の左側についているので、左利き、左手前で走る方が自然のようである。人間の陸上競技のトラック競技が左回りということもこれを裏書きしている。競馬ではアメリカのコースは基本的に左回りであるが、日本では右回りが多い。ヨーロッパでは左右が相半ばしている。
また4肢のいずれかに慢性の故障のある馬は、はっきり右、左のどちらかの手前を苦にするようである。不器用な馬は、直線コースからカーブにかかるとき、またはその逆の時に手前を変え損なって骨折することがある。

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