Qのカクメイ
2010/06/15 火 13:11
HY
「
スミヤキストQの冒険」 倉橋由美子 (講談社文芸文庫)
1970年の安保闘争の前年、國民(年若い学生が主だったろうが)がまだ政府フザケルナと怒る根性を持っていた頃に書かれた小説。
スミヤキ党の「密命」を帯びてある島に降り立ち、その島にある「感化院」に潜入したスミヤキストQ、の冒険譚、である。
密命とは、その島での低層階級である「雑役夫」や「院児」を組織して「院長」ら権力層を殲滅することらしいのだが、Qが自己の劣情や奇怪な登場人物たちに絡め取られ、モタモタしているうちに、却って自身が殲滅されそうになるという話である。
閉塞状況の中で行き場を失うということではカフカの「城」とか安部公房の「砂の女」などを思い出すが(ちゃんとは思い出せないが(^^;))、あちらの(確か)静謐と諦観の漂っていた世界とは異なって、こちらの世界はエネルギッシュに飛散する言葉の横溢で埋め尽くされている。饒舌なのだ。
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