Qのカクメイ
2010/06/15 火 13:11
HY
その閉塞状況の中の闘いで描かれるのは、宗教であり、セックスであり、食人であり、差別であり、文学であり、ギャンブルであり、そして(虐げられた者のハケ口としての)革命的思想であり…といった人間の最暗部にうごめくドロドロしたもの、要するに現代社会の似姿なのである。
その頃…高度成長期の國民の心のありさまを映しとり、当時人気を博した(というより物議を醸した)小説のひとつであろうけれども、社会が本質的に内包する「閉塞状況」を描き出したという点では(舞台設定も登場人物たちの思考も基本的にはピンと来ないが)、今に通じる普遍性は持っているように思われた。
…なんつーことを考えていたら、他者による評論の形を借りたあとがきで著者に、
この物語からなんらかの意味を読み取ろうとするのは「旧人類インテリの悪い癖」
とバシっと言われてぎゃふんとなるのだが、一方その著者にして
本作は「ドン・キホーテ(Don Quixote)」や19世紀ヨーロッパの革命的秘密結社「カルボナーリ(炭焼党)」をモチーフとしている
…とも記述しており、著者自身の風刺精神と問題意識は明確なのである。
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