山の遭難
2010/07/06 火 17:21
HY
面白いと言いつつ、その過程で本来山は危険な場所であるという基本認識が置き去りにされている、という指摘なんですね。
一方面白いで済まない(どころか、胸が悪くなる)のが、後半にさまざま紹介されている遭難者たちの実態なんですな。
スリ傷程度で救助を要請するやつ。「民間のヘリは金がかかるから警察のヘリを飛ばしてくれ」と言い放つやつ。足が痙攣したことを「夕べ遅くまで仕事してたんだから仕方ないだろう」と開き直るやつ。救助されたあとに「頼んだ覚えはない」というやつ…。
自分の愉しみ、あるいは自分の過誤に他人を巻き込んでいる自覚もなければ陳謝・感謝もない勘違い野郎たちのオンパレードと来たもんだ。こんなところにも、例のモンスターペアレントやモンスターペイシェントに通じる「モンスター遭難者」がいるわけです。これ、日本社会をあまねく覆う病理なんじゃないだろうか。
ほかにも、遭難の類型(大した装備も持たずに北海道の嵐の山をパーティ分断の上突き進むとかね)、遭難したら人はどのようになるか、報われにくい救助隊の仕事…などなどと続く話題には、ひとつひとつ身につまされるものがあります。
山に行く人はぜひ、こうした本を精読したいものなんですが(読めばいいっちゅーもんでもないが)、本当に読んだ方がいい人って読まないんだよね、きっとね…。
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