ブルックナーの謎
2011/05/23 月 15:33
HY
結論からいうと、その手のエピソードはあまり書かれていない。
「敵陣営の旗頭」であるブラームスとの会見の模様や(「燻製肉」が2人の理解し合える点であった)、交響曲第7番のスケルツォでトランペットから始まるテーマが、近所の雄鶏の鳴き声から着想された(この章が完成した時に声の主に挨拶しようとしたら、すでに女主人のフライパンの上だった、という)など、わずかながらくだけたエピソードもあるが(…その手の話の方がオレは好きなんだけどなぁ)、基本的には書簡や公的な資料を中心にしつつ、○年にどうした、○年になにがあったという具合に逐年的に書かれているために、読んで味わい深いという本ではなかった。(残念)
中では、「書道」を能くした、抜きんでたオルガニストであった、敬虔なローマカトリック信者であったなどは、交響曲の書法にも通じているしナルホドと思う。
一方、(書簡類がそもそも偏っている気もするんだけど)報酬の増額や博士号の要求など俗的な面がたびたび出て来るほか、作品の巨大さゆえになかなか理解されず、演奏不能の烙印が押されたり一部しか演奏されなかったり(時代を考えるとムリもないが)、ワーグナーへの敬愛ゆえ、かれを敵視する評論家ハンスリックから執拗な批判を浴びたりなどは、気の毒を通り越して哀れにさえ思えてくる。
[7] << [9] >>
comments (0)
trackbacks (0)
<< 雨天舞踊人
キロロの早割ズン券メモ >>
[0] [top]