3つの時代小説

2007/04/26 木 13:52
HY


先頃(3/22)亡くなった氏の代表作のひとつ。

山本氏とはうって変わって骨太・重厚なルポを読んでいる感じ。これって小説なんだよね…?(^^;)

東京裁判にかけられ、文民として唯一A級戦犯となり処刑された広田弘毅元首相の物語。彼はむしろ戦争に反対し、軍部にブレーキをかけた。当時から「なぜ彼が裁かれなければならないのだ?」という声も多かったという(検察官さえ「死刑は重すぎる」と呟いたそうな)。
が、「開戦の責任は私にある」として、頑として言い訳も他者の告発も行わなかったがゆえに、有罪となる。
そこには、かれ自身の「中道の美徳」というものがあった。奢らず、ひがまず(威張らず、おもねらず)、公平に、そして運命のままに…。

ただ、個人の覚悟としてはよくても、黙して主張しなかった(真実を必ずしも明らかにしなかった)ことは、日本の歴史認識をも停滞させてしまったのではないか?…読後真っ先に思ったのはそのことでした。

また、先の戦争の原因はもっぱら軍部の暴走にあったと思っていましたが、この小説を読むと、戦争はある気狂いのリーダーが起こすのではなく、時代の空気といったものによって必然的に駆り立てられていくものだ、という感じもして来ます。
現首相の「暴走」の背景として、北朝鮮の非常識への怒り、中韓の「内政干渉」への不快感、テロへの不安、アメリカ国への依存(もしくは隷従)…そういうものが、我々の中にあるのかも知れません。

落日とは大日本帝國の終焉であり、「長州が作った憲法」の最期であったと小説は結ばれています。

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image[たそがれ清兵衛]
たそがれ清兵衛」藤沢周平(新潮文庫)


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