世界一かわいい、ベトナム戦争
2009/11/23 月 21:55
HY
著者はベトナムの風俗や歴史に関心が強く、ベトナム戦争の構図にも詳しいようだ。そのベトナムのお話を通して人間や戦争の異常心理、不条理を描こうとしているのかも知れない。
一方、本の帯や雑誌のアオリコピーは「世界一かわいい、ベトナム戦争」とか「超絶ラブストーリー新連載!」といった具合だ。
お話の異常性に比して、ちと脳天気ではないか?
近ごろのマンガ雑誌(コミック誌、というべきか)を手に取ると、内容はひどいものだ。暴力とセックス、荒唐無稽な力や、シリアスな場面でも突然出てくるギャグ、現実とは乖離した「なんとなくなんとかなっちゃう」あり得ないユートピアばかりだ。
こんなものを読んでいたら、それこそどうにかなっちゃいそうだ。
否、既にどうかしている日本人がこういうものを求めているのか…。
この本の作者の抱いているモチーフが、上にも書いたような人間の矛盾を描き出すことにあるのか、それともご多分に漏れず単に暴力(血)の横溢を描きたいだけなのか、そのへんはよくわからない。
だが、今という時代(大衆)がだんだん、人の血や死を大ごとと考えなくなっているのを感じるのである。
*
ところで「ディエンビエンフー」とはベトナムの地名で、ベトナムとフランスとの間で戦われた独立戦争の中で最大の戦闘が行われた場所だという(独立戦争の背景には、旧日本軍も絡んでいる)。これは物語の10年ほど前のことである。
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