Recipe of Despair

 ・・・ニセうどん師の冒険

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2002.6.22 ちょっと情報
先日TVで、「絶品!最強のパスタ!?さぬきうどん」なる番組が流れていた。「和洋中料理の達人がさぬきうどんの新しいレシピを作る」とかなんとかで、新聞の番組表では「珍奇な挑戦より正当な食べ方等を紹介した方がよかった」等と批評されていたが(笑)、各名店の内輪話しはなかなか勉強になった。
金刀比羅宮のガイドさんの話を盗み聞きして、「讃岐は米が(40石程度しか)取れなかったので、小麦が発達した」ということを知ったが、今ではその地粉自体が少ないらしい。それに地粉を使っているところでも、それだけではコシが出ないため、若干の輸入粉を使うということだ。
また、名店でも伸しやカットは機械を使っていて、完全手作りにこだわっているのは「宮武」くらいらしい。うどん屋さんというよりはもともと製麺所なんだから、ある程度の機械化は当たり前なのだろう。
それにしても。出てきたのは「讃岐うどんと言えばこの店」と言われるほどの有名店揃いだったが、どこも素朴というか飾り気のないところが多い。「ウチは製麺所だから…」といって儲けを意識しないところなんか、まさに他にない美徳である。はるばる出かけ、並んででも喰いたいほどのうどんが一杯140円だったりするんだからね。
こんな番組を見せられると、あの山越うどんがまた喰いたくなるばかりか、「88カ所巡り」なんてのもやってみたくなっちゃうじゃないか…。

ところで、讃岐うどんは、結構ブームになっている。と言っても誰も彼もがハマっているというブームではなく、ディープかつコアにのめり込んでいる人が少なからずいる、という感じである(我々が喰いに行った時もものすごい行列だったが、クルマのナンバーは香川/四国/西日本…だけではなかった)。
讃岐うどんの魅力を語ると止まない友人のグラフィックデザイナー「ZUちゃん」なんかはその筆頭株で、東京在住ながらしょっちゅう香川に出かけているらしい(仕事の出張を絡めている辺りがエライ)。その人に、四国に行くからうどん屋を薦めてくれ、とメールを出したら、かなり凄い紹介サイトを教えてくれた。でもその後いろいろ見ていると、そのサイトが特別凄いのではなく、この世界自体がどこまでもディープであることが知れたのである…。

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てなわけで、讃岐うどんリンク。
麺聖のうどんグルメの旅
 ZUちゃんが教えてくれたサイト。讃岐うどん喰い歩き界では超定番らしい。
うどんやめぐり
 「うどんグルメ…」を補完するような感じのうどん屋巡りページ。うっちい氏推奨の「川蝉」掲載。
「絶品!最強のパスタ!?さぬきうどん」
 山陽放送の上記番組のホームページ。余談だが、私ゃ「坂本ちゃん」は嫌いである。

ちょ、ちょっと汚い?(スネ毛がね)
お揚げサンにも凝ってみる
包丁がチト普通だが、リズムよく刻んで行く
むむ、これぞ正調キツネうどん??
[第2回]2002.6.11 ぬ? 今回のうどんはひょっとしてなかなかか?
サテ、しばらく間があいてしまったが、yokoの「今夜はサッパリしたものが食べたい」という声にも後押しされ、偽ウドン第二弾に取り組んでみることにした。
なにしろオレには前回の経験値がある!と妙な気合いを覚える。敢えて鏡では見なかったが、きっと偽ウドン師の顔はキリリと引き締まっていたに違いない。一方、どことなく「ダメモト」な気楽さもある。目元はニヤケていたに違いない。失敗した方が記事が面白くなるしな…というスケベ心もあるし。
***
材料を準備する。前回はダシに余り気が回らなかったので、今回はしっかり取ってみようと思う。そうだ、ダシがあるならついでに油揚げでも煮て、キツネうどん風を目指すか。ということで、小麦粉のほか油揚げ、板カマボコ、ネギなども用意する。
なお、この日は晴れ。生地を踏んでいると汗ばむほどの気温。湿度は低めであったと思う。

1.ダシを用意する。
 -a. ハガキ大程度の大きさの昆布と、2〜3mm厚のカツオの厚削り5枚程度を鍋の水に入れ、煮立たせる。
 -b. 煮立ったら弱火(=お湯がまわる程度)にし、通常のカツオの削り節ひとつかみ程度を入れ、1分ほど煮る。
 -c. 火を落とし、削り節が底の方に落ち着いたら静かにこす。
2.今日は前回よりはちょっと多めだ。強力粉・薄力粉、それぞれ1カップ(200cc)ずつを取る。
3.前回より気持ち薄目の塩水半カップを少しずつ加えながら、粉をまとめていく。
4.だいたい一つにまとまったら、足で踏む。今回は念を入れて、ビニール袋の上にさらにスーパーの買い物袋をかぶせ、二重にする。
 -a. 全体が平らになるくらいまで踏み込んだら取り出し、4ツ折にし、また踏む。
 -b. また平らになったら取り出し、打ち粉をしてまた4ツ折にし、aに戻る。
 -c. a-bを1クールとして、15クール繰り返す(つまり30回踏む)。
5.30分ほど寝かす。
6.この時間を利用して、油揚げを煮る。
 -a. 油揚げに熱湯をかけ、よけいな油分を落とす。適当な大きさに切る。
 -b. ダシにしょう油、みりん、酒を等量とグラニュー糖を入れ、気持ち濃いめ・甘めの味をつける。
 -c. 油揚げを入れ、落としぶたをしてごく弱火で煮詰める。
 -d. ひたひた程度まで煮詰まったら火を落とし、味がしみるように放っておく。
7.生地によく打ち粉をしながらめん棒で伸ばし、2-3度折り畳んで、うどんらしき太さに包丁で切る。前回はここでかなりくっついてしまったから、打ち粉は結構神経質に振る。手触りは前回に比べてかなり反発も強く、期待が膨らむぞっ。長さ30cm、太さ5mm程度と、やや太めにやってみる。今回は切った麺同士がくっついてしまうこともなく、なかなかいい感じ
8.たっぷりの熱湯に放り込む。ゆで時間、25分。かなり長時間だが、どこまでゆでたらゆで上がりなのかよくわからないので、どこかで聞いた覚えのある「うどんは伸びない」という言葉を呪文のように考えながらじっと辛抱。
9.ゆで上がったら完全にお湯を切り、軽く流水で洗って、丼に入れる。ダシをかけ、揚げとカマボコを乗せる。あ、忘れていたが三つ葉を買うんだった…(^^;)。
ダシの味付けは、揚げを煮たのと同様しょう油、みりん、酒を等量とグラニュー糖少々だが、やや薄めにする。

さて試食。
うーん、前回とはまったく違って、かなりイケる! だが今度はちょっとコシが強すぎるようだ。踏む回数は少し少な目でよいのかも。ゆで加減は全体に悪くないが、あれだけ煮たのに、太めな部分に若干粉くささが残る。太さは厳密に均一にした方がよいようだ(当たり前だが)。ダシは、オレにしては絶品。いい昆布(羅臼産)といいカツオの威力である。
そんな具合で、今回は大過なく完成。いいぞー、多少の進歩は見られた。細部を調整すれば、さらにイケそうである。
次回が楽しみだ。

せっまい仕事場でしこしこ伸ばす
不安げに茹で上がりを待つ偽ウドン師
見た目は一見…
[第1回]2002.5.18 うどんづくりに初挑戦してみる。
「今夜何食べよう?」「うーん、思いつかない」という会話があったその日、「じゃ、うどんでも打ってみるべーか。金もないし」ということになった。
そう、思い出すのはあの香川で食したうどんである。あのコシの強さ、あのシンプルな中の奥深さ…こないだなんか、夢にまで見ちゃったもんな。
おいそれと出かけることもできないので、「なに、材料は手に入る。ソバほどの道具もこだわりも要らぬ。自分で再現しちゃれ」と思うのは自然な流れであろう(かな?)。とはいえ、簡単に見えてそうはいかないだろうことも、だいたい見えている。つまり「冒険」である。冒険というか短絡というか早計というか、この取り組みには我ながら少し足りないのではないか?というくすぐったさがあったので、試行錯誤の姿をこうしてホームページに残してみることにした。さて、そのアホな軌跡はどうなりますことやら。
***
前置きは早々にして、ずっと以前会社の同僚さんからもらった簡単なレシピと、もともと家にあった日清の強力粉と薄力粉を取り出して、イザ戦闘開始である。
ちなみにウチには温度計・湿度計がないのだが(欲しいナ)、この日は曇、暑からず寒からず、雨上がりだったので湿度はやや高め、という気候であった。

1.取りあえず2人分ということで、強力粉・薄力粉をそれぞれ3/4カップ(150cc)ずつを取り分け、粉ふるいにかける(そういう妙な道具はある)。本当は地粉、あるいは中力粉とレシピにはある。
2.塩水を用意する。だいたい1%(と言えばパスタを茹でる時と同様だ)が目安になるようなので、ミネラルウォーター1カップに、小さじ1杯の粗塩を加える。山勘だが、ちょっとしょっぱすぎな気がする。とは言え基準がないので、取りあえずこのまま進める。
3.「1」の粉にちょっとずつ塩水を加えながら、こね始める。半カップほどの水で、だいたいまとまるくらいな堅さになった。
4.ビニール袋にくるみ、足で踏んでは返し、を10回ほどくりかえす。踏めば踏むほどよい、とイメージとしては思っていたのだが、どうやら踏みすぎると堅くなってしまうらしい。
5.30分ほど寝かす。後で見たら、レシピには、寝かすとは書いてない(^^;)。それに、寝かせた後は表面がしっとりした感じだった。これも後で考えたら、ゆる過ぎだったのかも知れない。
6.めん棒で伸ばし、2-3度折り畳んで、うどんらしき太さに包丁で切る。これがまた難しい。切るそばから、切り口がくっついてしまう。この辺に、「ゆるさ」が現れているのだろうか。慌ててyokoの手を借り、粘土細工さながら、折り畳みをのばして行く。一応、麺(てゆーか紐)みたいになってきた。
7.たっぷりの熱湯に放り込む。ゆで時間、12分。
8.万能ネギのみじん切りを入れた丼に、直接麺を上げる。いわゆる「釜上げ」である。そこへ、生卵と、昆布・鰹ダシをベースにしためんつゆ(ダシを引いている最中、「しまった、うどんはイリコだった」と思い出したのだが後の祭)を少しかけ、できあがりの図である。

さて試食。
見た目は、麺がちょっと淀んだ感じはあるものの(^^;)、いかにもそれらしい。
んむ、まず壊滅的に一口も食えない、ということはない。これは望外のヨロコビ。
麺は全般にゆるく、コシのコの字もない。と思いきや、部分的にちょこっとだけ感じる。要は、麺の太さがバラバラなのだ。
めんつゆは、普通の吸い地と同じなので不味いことはないが、若干弱い。もっとしっかりとしたダシを取る必要があるようだ。

こんなわけで、初回は終了。最悪の事態は免れたかに思えるが、非常に明確な反省点が数多く得られたのが収穫である。
次回が楽しみだ。