父と息子は分かり合えるか

2008/12/01 月 16:02
HY



父は長男の裏切りに遭う。
それは中央集権型・利益誘導型の旧弊な政治体質と、地方分権を目指す新進の体質との対立の象徴として描かれる。

それはまた、大衆がすでに政治的な目を(マスコミの発達や生活の向上などを通して)持ち、「みんなで見る未来の夢がない」時代の中で中央集権型政治がその存在意義を失い、限界に達したことと、一方でカネの、モノの、人の、情報の格差が進む中、「地方分権」にも明るい未来なぞないのだということとの、行き場のない対立でもある。

この父、この息子ならずとも、実はわれわれすべてにとって行く道が見えていない現在という時間。

2005年刊行の本ではあるが、そんな政治・生活の閉塞状況をとっくに予見したような重厚な小説なのであった。


*
例の「合田」は東京の所轄警察署の担当者という立場で、本作にも電話で一瞬だけ登場する。
さらに続編の「太陽を曳く馬」が楽しみではあるが、読むのはいつになるのやら…。



(2009/10/15追記)

太陽を曳く馬」、読了。
1年を経ずに読めるとは望外であった。

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