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2006/01/17 火

NTN(New Telemark Norm)

ロッテフェラーが、これまでの75mm Nordic Normに代わる新しいテレマークブーツ/バインディングの規格を発表した。それがNTN(New Telemark Norm)である。

しんパパさんのBLOGやmixi経由でtelemarktips.comなどを見てみると(ソリッドイメージ製品写真インプレッション?中)、まずブーツの形状が高ゲタみたいになっている。で、メカニカルなバインディングで、高ゲタの前半分(つまさきと土踏まずの辺り)を前後からつまむように挟み、固定する。
固定は、前方のラッチのような部分を前に倒すことで行うようだ。ちょうどカンダハーでワイヤーを締める時のようなイメージか(←今どき誰も知らない)。で、その部分を(ストックで?)上げることでブーツがリリースされる。

われわれは常ひごろ、板を履く時・はずす時には屈んで「よっこらしょ」と(いや声は出さなくてもいいが)やっているわけだが、その労を解消してくれるものらしい。
もちろん、外観形状から想像される通り、アグレッシブな滑りにも耐えられる剛性を実現しているのだろう。たぶん。

いささか気になるのは、重さはどうか、足裏の感覚がどれだけ板に伝わるのだろうか、装着の際にかなり雪を噛むのではないか、ブーツも含めたコストは、という辺り。

ところで、先日届いたTelemark Skier誌にも関連記事が載っていたんだけど、どうも懐疑的な論調なのである。
ちょっと長いけど、ザックリ読んでみた。(抄訳…ってゆーか拙訳(^^;)はこちら)

ポイントをまとめると、以下のようになる。

*
メリット。
  • 着脱が容易になる。
  • スタビリティー(堅牢性)が上がる。
  • ロッテフェラーにとっては、パテントを確保でき、儲かる。

デメリット。
  • メーカーにとっては、開発コストに見合うマーケットが期待できない。
  • 小売店にとっては、2種類の在庫を抱えることになる。
  • ユーザーにとっては、バインディングとブーツ両方をいっぺんに買わなくてはならない。
  • 現行の「75mm」システムに比して驚くようなメリットが提供できるか疑わしい。

*
どうもNTNは、ニーズを汲んだような顔をしつつ「作り手の論理」で作られているように感じる。

だいたいがこの妙にメカニカルに過ぎる風体。
それ自体、テレマークのメンタリティとは合っていないと思うがどうだろうか。
(原文の抄訳)

ウワサとは裏腹に、NTNは死なないようだ。
ロッテフェラー、クリスピー、ガルモント、スカルパは計画の推進に楽観的だ。一方フリッチとブラックダイヤモンドはこの計画から撤退。ロッテフェラーが主導権を握ることへの反発のほか、NTNにかかるコストに比してマーケットが小さすぎることがネックになっている。
「少なくとも現在のマーケットサイズにとって、2つ目のテレマークブーツ/バインディング・システムを導入することは、その良さに比べて障碍の方が大きい」と語るのはブラックダイヤモンドのメロン部長。
現存するテレバインディングのマーケットは、年間80,000ペアに過ぎない。
「パフォーマンス向上のために必要かどうかより、マーケットサイズが問題だ。スノーボード市場を見てみればいい。90年代初頭にステップイン・バインディングに強力なプッシュがあったが、どれほど残っている? スノーボード市場はテレマークの30倍あるにも関わらず、だ」
バインディングの価格は、安くても250ドル程度。しかも、ユーザーにとってはブーツも購入しなければならない。新旧両方の在庫を持たなければならないため、平均的な小売店にとっても難しい選択となるだろう。

小売店とユーザーをその気にさせるには、NTNは75mmシステムに比してドラマチックな進歩を提供しなければならない。
ロッテフェラーのCobra R8など既存のバインディングに比肩するくらいの、ツーリング中のスムーズなピボット、安全なリリースとステップインの簡便さ、ダウンヒルパワーなどを提供できるだろうか?
逆に、既存の75mm Nordic Normに手を加えるよりも容易なアドレスが可能なのだろうか?

ロッテフェラーの開発はゆっくりだが、現在のプランと製品は悪くない。
提案されるNTNのキーエレメントは、つまさきとかかとが、アルペンブーツと同じようなディメンションを持つことである。要は、ブーツを掴むためにかかとの前の方にもう一つのリップがついて、第二のかかと状になっている。
実際のところ、それは第二のヒールを持つというだけでなく、ロッテフェラーが種々のパテントを手にするという意味を持つ。

一方、既存の75mm Nordic Normも新しい命をふきこまれている。
2005年の終わりには、耐強度を上げ、ディメンションを明確にするよう改良された規格が合意されている。これは、バインディングとブーツのインタフェースの信頼性を、余計な手間なしに向上させることができるものだ。
これを見越して、またロッテフェラーのパテント囲い込みに対抗して、他のバインディングメーカーも座して待っているわけではない。昨シーズン、Karhuはグラウンド・ブレーキング・リリーサブル7tmバインディングを発売した。2006年の第1四半期には、剛性・ピボットのスムーズさ・着脱の容易さを改良したG3とブラックダイヤモンドの新しいバインディングを目にすることができるはずだ。ブラックダイヤモンドの新しいO1は、パワフルなO2の仕様をベースにしながら、同じようなねじれ強度を実現している。Bomberのように小規模・ハイエンド向けの製造者でさえ、一年以内に既存のプレート・バインディング・プラットフォームにツーリング性能を与えようと目論んでいる。

残る要素、ステップインの簡便さとノン・プレート・リリース(バインディング・プレートのリリースポイントではなく、ブーツがどこでバインディングからリリースされるか)が、新しいブーツインタフェースに求められている。しかし、誰もNTNの品質証明を待ってはいない。
たぶん、最も大きな疑問は、それらの機能特長がいつかワンパッケージで可能になるかどうかではなく、いつ、新しいテレマークブーツの標準が必要になるか、なのではないだろうか?
(Craig Dostie)

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Comments

難しいことはわかりませんが、バインディングもブーツも重くなりそうですね。道具が軽いというのも、テレマークの大きな魅力なのに。
まったく同感っすねー。
今朝も、クルマからセンター4に向かう時に「テレって軽くていいなー」とつくづく思ったよ。
現在のパワー系の道具で滑降が中心となったテレマークでは75mmスリーピンで革靴時代の流れをくむ既存システムでは、かなり負担が大きい気がします。長く突き出たつま先へのです。私はT2Xですが、つま先のソールの部分がえぐれたり、コバの部分が変形したりしています。代理店の人の話ではアメリカで試乗したところ「つま先立ち」も解消され、自然なテレマークポジションも取れる。重量的にもバインディングは従来o1 ,o2程度とのことです。道具は進歩するもの。問題はやはり金銭的な面でしょうか
かずさん、情報ありがとう。
T2Xでもそうなんですか。
私はそんなにアグレッシブな滑りではないせいか、75mm規格に不都合を感じたことはないんですけどね。

重さは、確かにそれほどでもないようですね。価格は、ブーツと同時購入だと10数万の出費は必至ですね。

とにかく現物を早く見てみたいものです。

ロッテフェラーからは75mmNNの新製品も出ているようで、そちらも気になります。
http://www.steeps.jp/hy/log/eid945.html

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