<< (18) キロロ -9℃ ユキ | main | 充電池でビーコン >>

2010/01/31 日

オケびとの生態

オーケストラにはヴァイオリンとかフルートとかティンパニとかとかの定番楽器があって、それぞれの音色的個性が渾然一体と(時には個性を主張して)響くのが面白い。

演奏者にも、無くて七癖…とでも言おうか担当楽器なりの性格的傾向があるらしく、オーケストラの楽器別人間学や性格診断などの書物があり、(「のだめ」人気とも相まって)けっこう読まれているようだ。

これもその類書と言っていいかな?
オーケストラが好きになる事典 (新潮文庫)
オーケストラが好きになる事典」 緒方英子 (新潮文庫)


著者自身プロのサクソフォン奏者だそうだが、これまでに“蒐集”して来た楽器や奏者のエピソードと、主にN響の演奏者のインタビューをまとめたものである。

オビなどにあるように、「ヴァイオリニストは乗り物(新幹線や航空機)でトイレに立つ時、楽器をどうするか」とか「演奏中にあくびやくしゃみがしたくなったらどうするか」など、いささか下世話で楽しいこぼれ話の一方、「弦楽器の弓に使う松ヤニにはさらさらタイプとしっかりタイプがある」とか、「靴の中にアルミホイルか1円玉を忍ばせておくと、出す音の輪郭が際立ち、伸びがよくなる」とか、「バスクラは低音楽器にも関わらず向かって左側に座る“完全アウェイ楽器”である」とか、思わず唸りたくなるちょっとした蘊蓄が滅法面白い。

中でも特に気に入ったのは、世の中にはヴィオラ・ジョークという他の楽器にない一大ジャンルがあり、論文まで書かれているという話(ヴィオラの微妙かつ愛すべき位置関係を示しているらしい)。
例えば、「次の中でこの世に存在するものは何か。(1)ピンクの象 (2)サンタクロース (3)上手なヴィオラ弾き」といった具合。(答えは、「どれも存在しない」だそうな)
当ブログの読者様にもヴィオラ弾きがいるけど、どうでしょう…(笑)。

今まで関心のなかった人が、この本を読んでオーケストラが好きになるか…というとどうかなと思うけど(若干下地が必要だと思うので)、ちょっと知っている人が読んでへぇー、ほぉーと言っているうちにもっと好きになる本、とは言えそうである。

Trackback URL


Comments

あの~、「びよら」のことですか?
訛ってますよ(笑)>づんさん。

Comment form