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2006/06/12 月

脳はなぜ「心」を作ったのか

脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説
さぁー来た来た来た、…やばいぞ!

ひとに薦められ、タイトルに惹かれて開いてみたこの本「脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説(前野隆司)」のプロローグを読んで真っ先に思ったのはそんなことでした。
正確にはプロローグだけじゃなくて、何だろうこの人、と思って開いた奥付のプロフィール欄。慶応大学の教授で、ロボット工学者である。
ロボットの先生が脳と心について考えている! やばいぞ! というわけです。

プロローグには、「私は、生物の脳が、なぜ、なんのために心を造ったのか、そして、心はどんなふうに運営されているのか、という心の原理を理解した」と思い切り書いてあります。
いったいこの人は天才か。ユーモアリストか。はたまたパンドラの匣を無理に開こうとするマッドサイエンティスト(エンジニア)か…その話題のゆくえに興味惹かれるとともに、「ロボットに心は可能か」なんていう恐るべきテーマにどのような解を与えるつもりなのか、とにかく急かされるような気持ちで読みました。

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ネタバレってこともあるので、その答えはここでは書きませんが、なるほど、以前書いた「ロボットは心を持つのか?」(PLUTOの項)という疑念には、一定の解答を与えてくれました。でももうひとつの「理解不能な恐ろしいものに違いない」という思い込みを解いてくれるものではありませんでした。

そういう意味では、この人マッド・サイエンティスト(エンジニア)までは言わないまでも、いささか楽天的過ぎるのではなかろーか? やっぱやばいぞ。というのが読後の率直なところです。

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さて、ロボットなどの人工物が「心」を持つとき、それは「人間と同じような」ものでは恐らくないだろう。取りあえず思い浮かぶのは、これまた以前みた「マトリックス」の世界です(マトリックスの項)。

「マトリックス」の世界では、無数の人間がホースで繋がれている(物語では「エネルギーを採っている」ような設定だったと思うが)。それを司っているのは、人間にはコミュニケート不能の上位概念(コンピューターだっけか)でした。

どうも、人間が作る「もう一つの知能」というのは、そういうものになるんじゃないかと思います。

ま、それはお話だけど、そういえば人間はもう繋がっています。インターネットです。
また思い出した。先日読んだばっかの本。「不特定多数無限大」…「たくさんの個が基本的に等価で結び合わさった時に、今までとはまったく違った価値世界が生まれる」ってやつ。人間は結びあわさって、ニューラルネットワークのように地球上のあちこちで明滅を繰り返し、ある「心」を既に造っているのではないか(人間のニューロン一千億個に比べればまだ1/100程度の規模だが)。その全体像を人間自身はもちろん観察できない。それを観察できる者(=心)とは一体…?

以前に読んだ本や観た映画にも繋がって、非常にエキサイティングなひとときでした。

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