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2008/06/24 火

埋蔵金を取り返せ

確か極東ブログさんを読んで、だったと思うけど、動機は忘れた(笑)。とにかく、買って読んでみた。
霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書 635)
霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」」 高橋洋一 (文春新書)


元財務官僚で、竹中平蔵大臣(当時)の補佐官を務めた著者である。

前に読んだ「官僚国家の崩壊」も、この人や竹中氏の論をベースにしているようだ。「官僚内閣制(の打破)」「上げ潮」「道州制の導入」「党人派」などのキーワードはかの本と軌を一にしているし、その「上げ潮」派は中川-竹中-著者(実質3人)だそうだ。

まえがきには、ちょっとした経済学の知識があれば、今の日本のキーワードは簡単に解読できる、とある。その経済学のサワリと、インタビュー形式の文体は非常に読みやすく(ちょっと乱暴だが…それに誰がどういう立場でインタビューしているのかは書かれていない)、確かに「わかった」かはともかく、「わかった気になれる」。面白かった。

さて、今の日本のキーワードとは。引っかかった箇所をザックリ抜き書きしてみよう。

第一章 「埋蔵金」とはなにか
中央省庁には10兆単位の内部留保がある。借金国家どころか、日本には実はカネが隠されている。

第二章 国のお金はどう動くのか(財政編)
変動相場制のもとでは「公共投資」は効かない。ムダをやってきた。
一方、ガソリン税は環境の見地から上げなくてはいけない(福田さんが突然言い出したこのリクツ、もとをただせばこの意見かも?)。ただ「特定財源」という縛りがいけない。

第三章 国のお金はどう動くのか(金融編)
バブル後とデフレ下の日銀政策は大チョンボと言っていい。

第四章 公務員制度改革の戦い
「天下り」で、官僚の言い分は解ける。(騙されてはいけない)
省益、官僚ロビーイング、官僚内閣制。
「上げ潮」派は、小さな政府を提唱する。

第五章 国家を信じるな
the nearer, the betterで、行政は住民に近いことが重要(“国”では遠すぎる)。
三層構造の道州制が理想…例えば教育・福祉・ゴミは市町村、インフラ(生活基盤)は道州、国防・外交・社会保障の公平性確保は国。

これを実現するには、政官ともに「オールド」ではダメだ。
現状の党の枠組みを越えた党人派の仕事である。


キタ。
政治・行政の閉塞を解くカギは、やっぱし政界再編と官僚との対決にあるのではないか。

帯には「高校1年生~財務官僚・日銀マン向き」とあるが、官僚・日銀が読んでも馬耳東風だろう(極東ブログさんはこの帯文句を「皮肉」だという…ナルホド)。
現状に不満や不安のある人が、一読吟味したい本である。

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Comments

最近「脱藩官僚の会」とか旗揚げして元気な人ですね
絶対政治家にはならないってこの前TVで言ってました

脱藩官僚の会・・中心人物以外は良い感じなんですが・・
あ、それは知りませんでした。
少なくとも一週間は遅れてるね>オレ(笑)。

なんにせよ論点が明確になれば、今の政治・行政よりだいぶいいのでは。

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