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2009/11/11 水

ジミンは常に巨悪だったか?

長いジミン支配の時代が終わり、政権交代が実現して約3カ月。

交代直後はアラほじりをしない「100日ルール」と言われて(あるいは自ら言って)、ある程度は自粛していると思われるマスコミもウズウズジリジリして来た頃だろうか。

けど、なんたって政権なんか取った経験のないミンシュ党だもの、誰の存在感が思ったより薄かろうが、野党時代と言ってることが違かろうが、官僚支配を抜けられなかろうが、任期の4年まで待てるかはともかく、オレらはとにかく腰を据えて見守るしかないだろう。
ところでこの本。


日本政治の正体
日本政治の正体」 田原総一朗 (朝日新聞出版)


さすがは(近ごろ批判もずいぶんあるようだが)当代を代表するジャーナリスト、滅法おもれい。

戦後の混乱期に敗戦を糧としてアメリカ偏重の国家像を作った吉田茂を始めとして、続く一党独裁の55年体制、列島改造と金権政治、バブル、失われた10年、郵政改革是か非か、そして政権交代へと続く流れと、その時々に力をふるった総理たち…鳩山一郎、岸信介、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘、竹下登、宮澤喜一、小泉純一郎といったジミン党の巨魁がどんな「仕事」をして来たかが簡潔明瞭かつテンポよく描かれる。
そして、これからの日本の課題…対アメリカ関係、逼迫する財政、官僚支配にいかに対応し、今後いかなる日本を作っていくべきかを示唆する。

戦後政治を手っ取り早く知りたい素人にとっては格好の教科書なのではないだろうか。

と言いつつ、その筆致にはひとつの特徴があって、時に賛否相半ばする上記の巨魁たちを必ずしも悪くいうのではなく、その理念や業績をなかなかポジティブに語っている点である。
たとえば田中角栄は民主主義や地方行政にしっかり目を向けた政治家として、あるいは小泉純一郎は本気で行政改革を実行しようとした政治家としての姿が強調されている。

これを著者一流の主観的な描写と見るかむしろ客観的な評価と見るかは意見の分かれるところな気はするが、大物は単に腹黒いだけで大物なのではないというのもまた真だろう。

政治のフトコロの深さ、面白さをよく伝えてくれる本であった。


ところで、こうした先輩たちの奮闘もむなしくついに下野したジミンは、総理のカネ問題をほじくってるヒマがあるなら、天下国家理念理想を自らもっと真剣につきつめたらどうなのか、だよね。
(説明責任がどうって言ったって、総理はたぶん、まじよくわかんないんだと思うし)

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