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2006/08/07 月

ヌタプカウシペ

7:00発のロープウェーに乗りました。
駐車場はガスです。
今日は晴れるとは踏んでいるものの、前日は激しい雷雨(と、駐車場のおじさんが言っていた)。さてどうなりますか…。

ほどなくロープウェーは雲海をつき抜けました。
上はなんと、感動の大快晴だったのであります。

(以下長文)
出発は前夜。
札幌(西区)から宿泊地まで、途中のジン丼(道の駅滝川)や風呂(東神楽町の花神楽)も含め約5時間です。
旭岳ロープウェーではテン泊や車中泊を認めていないので、近くの旭岳青少年野営場に潜り込みます。青少年じゃないけど、1泊一人500円。

翌朝は5時起床。霧が濃く、周囲の森は雨が降っているような音をたてています。
蚊もめちゃくちゃにたくさんおり、あっという間に5~6カ所も食われました。悔しい。

トーストで腹を満たした後、荷造りをして山麓駅へ。駐車料金は一台一日500円。翌日まで置かせてもらうので、1,000円を支払います。
ここはほぼガラガラでしたが、隣接の無料駐車場(公共運営)は結構いっぱいになっていました。

7:00発のロープウェーに乗り、雲を突き抜けると、同乗した6~7人全員の感動の空気が車内を満たしました。素晴らしい景色であります。

歩き始めはまさに快晴。いやが上にも気分は盛り上がります。
その時、標高約1,600m。すでに、北海道で経験した最高地点(余市岳:1,488.1m)は越えています(笑)。

旭岳石室や姿見の池を見送り、着実に歩を進めて行きます。
当然森林限界は超えていて、足もとは軽石のようなごろた石。あまり歩きやすいとは言えないのですが、荷物もさほど気にならず、快調です。


右奥が姿見の池と
ロープウェー山頂駅。
「(ザックが)重いと言ったら100円な」とか冗談を言っていたのですが、正直、ひょっとして歩けないんじゃないか?という不安はありました。いやホントです。
前回山でテン泊したのが3年前。3年分、確実にトシとってますから。
まぁ、そのへんは杞憂だったようですが。


旭岳(2,290.3m) 一等三角点

9:25。
意外とあっさり、ピークに到着しました。北海道最高地点です。
大雲海と、延々と連なる山並み。聞きしに勝る眺望には圧倒されます。
ザックを降ろして少し休憩しますが、さすがに風が強くて冷たい。すぐに次を目指すことにします。

東側の急な下りは、足もとが滑りやすく難渋します。てゆーか一度尻もちをついてしまいました。危ないっす…。

途中、雪渓歩きです。
雪渓からは、雪解け水が筋をなして流れて行きます。こういうのが寄り合わさって、はるばるとまあ石狩川になって行くわけですね。

熊ケ岳ふところの三日月状の沼を眺めながら登り返す途中に、チングルマが咲いていました。
咲いているところを見るのは、これが初めてです。なかなかタイミングが合わなかったのですが、ようやく会えましたねぇ…感激です。

この後、コマクサも見ることができました。これも初めてだったので感激。

間宮岳(2,185m)

10:50、最初の分岐。いわゆる御鉢平が一望できます。
来たぁー!
これが、表大雪のシンボリックな風景。

お鉢の中央には、その名も「有毒温泉」があったりして、独特の景観をつくっています。
これからこれをぐるりと半周し、写真中央の黒岳を目指して行くわけです。

写真ではその偉容というか、雄大さはなかなか写せないのではありますが、ま、その辺は記憶の中に写すっていうことで。

11:20、中岳分岐の休憩ベンチで昼飯にしました。
フリーズドライの丼。こういうところで食べると、何でも旨い!(笑)

中岳(2,113m)

雄大な御鉢平を右手に眺めながら、北鎮岳をやり過ごし(今回は登りません)、ずんずんと歩いて行きます。

見通しがよいので、遙か遠くに目的地のテン場が見えています(すでにいくつかテントが立っているようす)。これがなかなか近づかないんですよね。どちらかというと目的地は見えていない方がいいようです(笑)。

それでも、北鎮分岐を過ぎればあとは下りオンリー。快調に歩いて、思ったよりも早く14:00に本日の宿泊地黒岳石室に到着しました。

さぁテン場はと見ると、これがまた大混雑じゃないですか。
ウチのテントは小さいのでなんとか潜り込めましたが、ほとんど隣のテント同士がくっつくほどです。どうやら団体(北大の熊研究グループ)が陣取っていたためらしく、普段はこれほどではないのかも知れませんが、ちょっとびっくりの一幕でした。
ちなみに幕営は無料です。記帳するだけ。

荷物をデポして、本日最後のピークを目指します。

黒岳(1,984.0m)

層雲峡から登るとまずここに着くという、黒岳山頂です。
黒岳は、遠くから見ると変な台形のような形をしているのですが、その向こう側(北側)は目のくらむ大絶壁なのでした。
その右手・遙か下には層雲峡も見えます。奥の鋭鋒はニセイカウシュッペでしょうか。


中央が黒岳石室。
反対側は、今日歩いて来た方向。明らかに雰囲気が違いますね。

中央奥に北鎮岳の雪渓が見えていますが、そのいちばん上のが白鳥雪渓というらしい。(かなりやせ細った状態)
夕方、その下の雪渓の付近に熊が見えたというんですが…(望遠鏡を使っていた北大生談)。

黒岳石室のいいところは、立派なバイオトイレ(使用には200円程度の協力金)だけじゃありません。雪渓の雪で冷やしたビール(と言いつつ発泡酒:400円)なんかも飲めたりします。
以前、石井スポーツで講習をしてくれたゴトウさんが、今日は何とここの管理人さんをやっていました。その方にお金を支払って、プシっ、ぐはーーー、っとこう、ね。う、旨いっ。
日がまだ高く、テントの中は暑いくらいでしたが、その分ビール(と言いつつ発泡酒)がサイコーです。

テン場では、学生くんたちのアンケートが始まりました。登山者の、熊に対する意識調査です。
なんか楽しそうでした。

そんなこんなですが、晩飯(餅ラーメン)も食い、日も落ちたので、19:00に就寝となりました。

*
夜半から西の風がかなり強まり、あまりよく眠れませんでした。
しかも学生くんたち、早い出立らしく3:00起床とか。それは結構なのですが、3:00からフツーに会話しないで欲しいなぁ。若い人たちばかりだと、山のマナーは研究されないのかも知れませんが…。

ともあれウツラウツラを繰り返しながら、5:00に起き出しました。
西の風強く、御鉢平のほうはほぼガスに籠められています。
雨よりはいいですが、風の中の撤収はけっこう大変です。

ロールパンを食い、6:30、出発となりました。
腰骨のあたりがザックに擦れて痛い以外は、体調は特になんともありません。どうやら最後まで歩き通せそうです。(通せなかったら困るわけだが…(^^;))


風と陽光になびくチングルマ
黒岳付近は晴ですが、次第にガスってきます。

風は相変わらず強く、時に30m/sはあろうかと思えるほど。砂塵を運んでくるので、アレルギーの私は鼻水じゅるじゅるです。時々、たらーっと流れ出したやつが、風に吹き飛ばされていくのが見えます(←美しい光景ですねぇ)。
さほど寒さは感じないのですが、これだけの強風に吹かれ続けては体力にも影響があると思い、ソフトシェルを着込みました。ウインドブレーキング効果もなかなかですねぇ、快適になりました。

北海岳(2,149m)

とにかく風とガス。
なんも見えないので、足早に通り過ぎます。
あ、白雲岳方面へ稜線を歩いて行く北大グループ(前後30人くらいはいたかな?)の姿はなかなかいい感じでした。

松田岳(2,136m)、荒井岳(標高表示ナシ)と踏み、昨日の間宮分岐に戻って来ました。8:50。思ったより早いペースです。ここからあとはおおむね下りなので、順調に行けそう。やれやれという感じです。

少しのあいだ昨日と同じ道を歩き、中岳分岐から今度は西へ進路を取ります。

雪解け水が削ったと思われる大渓谷を下り、硫黄分を含んだと思われる沢を越えると、温泉の囲いがありました。(いわゆる中岳温泉)
「足湯をすると疲れが取れていい」と後で聞きましたが、タイツ(CW-X)を穿いていたのでここは通り過ぎるだけにしました。手を入れてみると、絶妙の湯加減でしたよ。

「下界」(といってもまだ標高1,700mはある)に降りて暑くなって来たので、ソフトシェルを脱ぎ、歩を進めます。

10:30、裾合平に大きな休憩ベンチがあったので、そこで飯にしました。
ちょうどパトロールの大集団(清掃日かなんかだったらしい)と行き合ったのですが、会長と呼ばれる人が「緑沼の方には、わかっているだけで9頭いる(熊が)」と言っていました。緑沼というのは、大雪高原温泉の緑の沼のことらしい。
やっぱいるもんだねぇ。

最後はほぼ平坦路かと思いきや、雪渓や沢がけっこうあり、アップダウンが続きました。

飯から約1時間。12:15にロープウェイ駅に戻って来ました。
ぜんぶで6時間弱ですから、かなり快調でした。

次の発車まで10分以上あったので、ザックを降ろして恒例のコーラ一気飲み。
こたえられんなぁ…コーラはこういう時にしか飲まないのですが、何が入っているにせよ、120年間も飲まれて来ただけのチカラは秘めていますね。

ロープウェイに乗っている時間は10分足らずですが、植生が劇的に変わっていくのが面白い。ハイマツからダケカンバ、エゾマツと、非常に明確です。
冬には滑りに来よう。

さて、随分長い時間が経った気がしますが、クルマに戻って来ました。

旭岳温泉の某ロッジで入浴(入浴料500円)+キトピロラーメンなぞを食して、帰路につきました。

*
メモ。

行程図。(赤=往路、青=復路)
裾合平から、なぜかGPSのデータが飛んでます。


歩き出しの気温は10℃。
晴れだったので、上は長袖のインナーと半袖・薄手のプルオーヴァ、下はCW-Xと薄手のナイロンパンツで基本的には十分でした。
夜もグっと冷え込むということはなくて、秋~冬用のシュラフ+シュラフカバーをちょっとはだけて寝るという具合でした。

ヌタプカウシペとは、より正しくはヌタカウペで、「蛇行する川の内側のような地形の場所-の上に-いつもいる(ある)-もの」の意だそうで、大雪山のことです。ただし、ここでいうヌタが具体的にどこを指すのかは(湿原の意ともいうが)、伝説の彼方にあるようです。
大雪山というのは、そういう「山」があるわけではなくて、この山塊一帯の総称なんですね。

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Comments

うぉー、大作だね〜。楽しかったのが伝わってくるよ。
ビール(と言いつつ発泡酒)が2回出てくるのは口惜しさが伝わってきます(^^)
標高の高いところだから、大雪山かな、と思っていましたが、やっぱり。でも一つの山かと思っていました。すばらしかったんだなあというのが、じわじわと伝わってきました。
はじめまして.
わたくしは,つい最近中岳温泉にしっかりと入ってきました.気持ち良かったです.嬉しくて思わず書き込んでしまいました.
kazooさん、どうも。
私も今おもえば、足ぐらい浸かっとくべきだったなーと軽く後悔。
ま、きっと次回があると思います(^^;)。

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