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2009/05/31 日

音楽の庭

昔買った本を読み返してみよう!シリーズ。(?)


音楽の庭―武満徹対談集 (1981年)


対談というのはどうも筆のすさびならぬ口のすさびみたいな放漫さが気になることが多くて(この本みたいに)あまり好きではないんだけど、それでもこういう、それぞれ一代を築いた人同士の「すさび」には時々はっとさせられる。

たとえば、吉田秀和氏と語った欧米人と日本人の事物の感じ方の違いとか、小澤征爾氏と語ったNHKホール問題や当時の音楽界の裏話とか、原広司氏(建築家?)と語った、庭のような構造物をイメージすることから曲を構想する話とか、寺山修司氏と語ったジャズの機微とか…(しかし寺山修司はなにげない会話からも才気が伝わってくる凄い人間ですな…才気っていうか鬼気っていうか)。

その辺が対談ならではの、一期一会的な出合いとひらめきの妙味なんだろう。

このほか、高橋悠治、安部公房、谷川俊太郎、辻邦生、黒澤明、広中平祐らこの時期を代表するクリエイターたちと交わした肉声は興味が尽きない。


しかしこれ…1981年頃に買って、当時ちゃんと読んだんだろうか? 内容にぜんぜん覚えがないんですけど…(´Д`;)。

若い頃の読書が圧倒的に少ないオレなのであった。
*
さて、こっからは筆のすさび(笑)。

武満徹氏といえば、時々サントリーホールのパティオでお見かけすることがあった。小柄で細くて、でも頭は大きくて、失礼ながらマッチ棒みたいだと思った。精神が肉体を消費しているのか…って感じだった。

当時の演奏会プログラムが手元に残っている。1986年10月15日からの、オープニングシリーズ「国際作曲委嘱シリーズ」という。サントリーホールの開館が1986年10月12日だというから、まさにこけら落としシリーズを聴きに行っていたわけだ。

武満氏監修のこのプログラムは、翌年2月まで5回にわたって行われ、武満氏のほか、ヤニス・クセナキス、尹伊桑(ユン・イサン)、ジョン・ケージ、シルヴァーノ・ブソッティという錚々たる作曲家の世界初演を含む作品を東フィル、日フィルなど在京オーケストラの演奏で聴かせるものだった。

内容はほとんど覚えていないけど、武満氏の「ジェモー」や尹氏の「交響曲第4番」が面白かったイメージが残っている。

このシリーズとは別に、同年11月1・2日両日に行われた「小澤征爾と日本の作曲家たち」というのもある。(右画像)

なんと…武満氏の「ノヴェンバー・ステップス」がここに含まれている。この曲をナマで聴いたことがあったとは…今のいままで忘れていた。(ちなみにレコードは持っている…小澤-トロントの、トゥーランガリーラとのカップリングだ)
たいへん感激した記憶がある石井真木氏の「モノプリズム -日本太鼓とオーケストラのための-」も、この時の演奏であった。

すさびついで。

「音楽の庭」にしおり代わり?に挟まっていたチラシがこれ。

なんともまあ(笑)。

Comments

サントリーホールのオープニングの第1回に行かれたのですか。
すごいですねぇ。
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/sponsor/070905.html
それで、私は第4回のジョン・ケージを聴きに行ったのを思い出しました。今思い出してもいいコンサートでした。(貧乏ゆえ、サントリーホールに行ったのは結局その1回だけですが。)
おおっ、ここにも隠れクラッシック・リスナーが(笑)。

しかし「国際作曲委嘱シリーズ」が今も続いているとはね…逆にそれは知りませんでした。

ついでですから第4回の演目も抜き出しておきましょう。

・クリスチャン・ウォルフ「エクササイズ24・25」(世界初演)
・エリック・サティ「ソクラテス」(日本初演)
・アントン・ウェーベルン「交響曲」
・ジョン・ケージ「エトセトラ2」(委嘱作世界初演)

 指揮 岩城宏之/一柳 慧/黛 敏郎/湯浅譲二
 (4群のオーケストラに4人の指揮者、それにテープに録った環境音をかぶせた音楽…だったらしい)


指揮:岩城宏之
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(1986年12月8日 19:00)

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