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2005/09/12 月

民主党はなぜ負けた

正直言って、この稿は土曜日に書こうと思ったくらい、民主党の敗色は濃厚だった。
こんなに大差になるとは想像しなかったけど…。

さて、民主党は負けるべくして負けたような気がする。
以下、シロート考えで4点くらい、挙げてみたい。

政策

自民の「郵政」一点突破に対して、有効な争点を打ち出せなかった。
結局「他にもアレもコレもいろいろあるけど、郵政一点だけでいいのか」では弱かった・わかりにくかったということになる。

「日本を、あきら。」だかっていうスローガンも、途中からケシ飛んでしまった。
後半の新聞広告には、ボディーコピーにさえその言葉はなかった。
志井氏が「たしかな野党」に必ず発言を収斂させ、福島氏が「社民党がなくなったら憲法9条はなくなります」と愚直に言い続けたのとも対照的だった。

コトバだけではなく、郵政の「対案」を途中から出してきたことも含め、選挙期間を通じて終始対症療法みたいに迷走して来た感が否めない。
争点を絞れなかった。(絞る戦略を採れなかった)

「ラーメンも寿司も豚カツもカレーライスも旨い」店が旨かった試しはないのだ…。

人柄

そして岡田氏。
選挙中盤、NHKの取材中見せたプライベート(自宅での夕食)シーンでの笑顔はなんとなくよかった。
だが、カタブツ、コワモテ、ジャイアントロボといろいろ言われている通り、本質的な薄暗さは否めないところだろう。

TVで党首の演説シーンが流れると、小泉氏の次ということが多かったが、岡田氏の順になった途端に何を言っているのかわからなくなった。
政策や論点は別にしても、くぐもった不明瞭な声とともに、言葉に遊びがない。自分の実感がこもっているように聞こえない。
そこでもカタくてくそまじめなのだ。
シンパシーにはつながらないだろう。

逆によかったのは志井氏と田中康夫氏だったか。

制度

小選挙区・比例代表並立制って、インチキくさくない?
「刺客」とか言って、地元とは縁もゆかりもない落下傘候補が(話題のために)舞い降りる。
話題で票が集まると、地域で支持されていない(てゆーか訳のわからん)候補が、いつの間にか当選している。

われわれはぶっちゃけ、「政党」にしか投票するすべがない。
代議制はどうなった。
「一票」の無力を改めて感じる。

国民

小泉劇場にまんまと乗せられてしまった。
いや、批判めいたことはやめよう。それが日本だし、今はオレの方が逸脱しているような気がする。

それにしても自民は、改革を止めるな、郵政是か非か、刺客、と明快なテーマのもとでエピソードと役者(反対勢力も含め)が極めて多彩だった。
そう言えば民主党には「脇役」が誰一人として存在していなかったな。

だがこれは、政策や日本の課題を充分に吟味しての結果ではないのではないか。
自分の切実な将来を判断し託したというよりは、喜ぶ観客に徹してしまったのではないか。
日本国民の未成熟さを見たような気がする。
これはTVに代表される子供文化・パッシブ文化と無関係ではないだろう。
また思い起こせば、毎日TVでインタビューに答えてきた(内容はどうあれ)小泉氏の支持率が下がろうはずがない。

「露出」だけがモノを言う…。
そうした薄っぺらな国民性を見越した小泉氏の深謀勝ちということだ。

*
ともあれ、「自民、歴史的大勝」となった。
上記のすべての点で民主党を上回っていたからだ。

さて、どうなる。
郵政民営化法案はフツーに通るだろう。
他は?
大胆に、しかし謙虚に、公平に、正しく、粛々と、そしてしっかり中身の伴なったものを進めてもらいたい。
(まずは、道路・土木や郵政という支持基盤をぶっ壊したんだから、小泉氏は遺族会もぶっ壊すべきだろう)

郵政民営化論―日本再生の大改革!
そしてわれわれは、今まで以上に真剣にワッチして行かなければならない。
取りあえず、おがとぐでん2が言ってた郵政民営化論(小泉・松沢)」でも読んでみっか…。

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Comments

「郵政民営化」という「キャンペーン」に負けたのじゃないかな。民主党や他党(含む自民党放り出された組)は。
本来議会選挙はたった1つのキャンペーンのみで国民の選択を得るべきではないと私は思う。

そのキャンペーン戦術に対して(寄せ集めが上、結果的には「収束的な技法(=常識的な手)」を採用せざるを得ない)民主党が国民の支持を求めるために「広報戦術」を張ったが、それが甘く(=広報の「基本」である「首尾一貫した主張」がなされていなかった)、今回の「人気投票」の惨敗に帰したというのが、私の分析である。
そして何より民主党に欠けていたのが「広報→マーケティング」の戦略である。
「広報のための広報」に終始し、「広報→マーケティングの戦術の開発・選択→集票」の流れが見えなかった。

ただこの「広報下手」は民主党に限ったことでなく、日本の組織・企業のほとんどが同様であると思う。なぜなら「広報の本来の『意味』と『行わなければならない理由』を知らない」ためである。
当然、「良い広報」など見たことがない日本国民は、広報的手法で訴えられてもインパクトを感じない。結果としてしばらくは常に、広報はキャンペーンに負け続けると断言できるであろう。

これもまた日本の国の「力の無さ」を示す、悲しい一面である。

なお、「広報」に関する図書の中で、私が一番「簡潔、かつ正しい論旨が多い」と思う一冊は、
「企業広報のすべて(中央経済社、1981年発行、丸山尚 著)」である。(たぶん絶版。私はブックオフで20年振りにその本を発見し、狂喜乱舞した(爆))
訂正。

オンライン書店ではまだ売られていた模様<企業広報のすべて

10年ぐらい前に書店で「取り寄せ」出来なかったので、てっきり絶版かと(苦笑)
逆に、「郵政民営化論」はどこにも在庫がない…。orz
図書館行って借りて来よう…。
私は法案ではなく「民営化反対」と言ってしまい、その文脈で「民間」をコケにしまくった事が「民間」の集合体である都市部住民の反感を買ったと思うんですけど?

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