<< 「しゃっこい飲み物どんだべぇ」 | main | (35)ラストグランヒラフ >>

2006/05/12 金

食乱れて…

仕事半分、小泉武夫という人の講演会「食乱れて民族滅ぶ」を聴いて来た。
氏は東京農業大学教授、醸造学・醗酵学・食文化論のセンセイである。近ごろ「食育」という言葉が注目され、脚光を浴びている人。世界各国を飛び回り、怪しげなものを食べ倒していることでも有名らしい。

お話は、「長寿県・沖縄の崩壊」というところから始まる。

  • 沖縄は長寿県とされているが、実はSPAM(ソーセージ缶)や肉食に代表されるアメリカの食文化が入って来たことから、もはや壊滅的な危機に瀕している。
  • 食が悪い(肉や油の多い欧米型の食事)と、心が乱れる。なぜなら、日本人の遺伝子はまだそういうものを受け入れるようになっていないからだ。
  • 肉は体を酸性にする。するとミネラルが足りなくなり、骨が弱くなる。小学生に骨折が多いのはそのため。
    アドレナリンを抑えるのもミネラルだから、子供が切れやすいのも理の当然。
  • アメリカなんか高圧的なんだし、肉なんか入れる必要はない、もっと日本のものを食べよう。
  • 国を愛せないというのも、土地のものを食べていないから。韓国なんかちゃんと食べてる。

このほか「日本人は温厚で深遠な国民性だったが、攻撃的な性格に変わっていることが数字で証明されている」「日本では、貧困国の300万食分を毎日食べ残し、棄てている。牛乳が余ったから棄てるなんてのももってのほか(チーズにして保存すればいい)」などのエピソードを交えつつ、だいたいこんなお話であったと思う。

誠にもっともである。
日本は食はもちろん言葉までアメリカ国におもねって植民地に成り下がっているが、その食が「遺伝子と干渉している」なんて聞いてびっくりしたし、おおむねいつも見聞きしたり思っていることを言ってくれたという意味で大変面白い講演だった。

*
ただ、このままでは滅びるといっても、食生活の崩壊はもう押しとどめられないのではないか。ある食品スーパーの仕事をしていも「食の安心安全」「地産地消」「食育」などのキーワードは出て来ても、「売り」「利益」の前で中身はお寒い限りである。

せいぜいガキに絡まれてケガしないように過ごそう、と思うばかりである。

*
スポンサーがある水産企業だったので、帰りにはお土産がついた。北海道の美味しい荒巻3切れ。ラッキー。

*
ところでセンセイはこのあと、どこに何を食いに行ったのだろう。ちょっと気になる(笑)。

Trackback URL


Comments

もっともな話ですなぁ。
でも、食料自給率(カロリーベース)が40%の我が国において、地物を食べ続けるるってのはとっても困難です。まずは食料生産者の保護からやらないとねぇ。
小泉武夫先生のお話って面白いよねぇ。ちなみに北海道は食料自給率が180%あるとのことで、地物だけで生活できちゃうんですよね。

お金のためなら、売り上げのためなら…というお題目が通用してしまう世の中である限り、人類は滅びていく方向にまっすぐ進んでいるような気がしますな。
うちのダンナ様は昔から性格は食事に関係してるのだ!と力説してます。インスタントものばっかたべてる人とベジタリアンが嫌い。あとサプリメントも大嫌い。
そんなもんは食って補えと申しております。
実際、本人は食事でバランスのとれた体を作っております。さすが調理師。
ただ、無農薬野菜で食卓を飾るのはむずかしいなぁ。
>さわ
あ、サマリには書かなかったけど生産者の保護育成についても言及されておりました。
巨大な生ゴミプラントを作っちゃった人とか(そこで作られた肥料は、水に沈むトマトを作り出している、とか)、兵庫県の産販協同ユニオンとかもね。

>champ
ダンナ様の説に禿同。

Comment form