<< 憲法是か非か | main | 夕張の選挙 >>

2007/04/16 月

シマゲジ風雲録

シマゲジ風雲録―放送と権力・40年
というわけで、

シマゲジ風雲録―放送と権力・40年」(島桂次)文藝春秋

を読んだ。
往年のNHK会長の自伝である。

Wikipediaによると、島氏が会長を辞任したのは1991年というから、私も(とっくに(^^;))社会人になっていたが、当時の様子はオボロにしか覚えていない。独断専横とか、女性(同伴)問題で責任を追及された、かなりコワモテで腹黒いおじさん、というイメージしかなかったような気がする。

読んでみると、その強引さはヤハリ鼻につきつつ、かなり痛快な本でもあった。(もちろん当事者が一方的に書いている本なわけだから、事実関係の理解には一定の差し引きが必要だろうけど)

なにより、氏が早くからマルチメディアやビデオジャーナリズム、地球の時差を利用したGNN(Global News Network)の必要性などに着目していたその柔軟性と先見性には驚かされる。

NHKの構造改革に積極的に取り組んだ点でも、歴代会長の中では異色のようだ。
中でもNHKエンタープライズを始めとする関連団体の設立はこの人の発案だという。(NHKのリソース=番組を、日本/世界のリソースとして活用する、またNHKの自立、(郵政主導の)巨大化への歯止めなどの意図があったという…逆に利益の囲い込みのニオイも感じるわけだが)
波の整理(チャンネルを減らせ、と言ったらしい)もつとに言い出していた。
NHKの「親方日の丸」体質や利権の跋扈の様子なども、かなり赤裸々に描き、歯がみしている。

NHKの中では突出して開明的であり、超改革派なのであった。

政治部記者として(というか結局性格と能力がモノを言ったと思うが)養った政界との極太のパイプを軸にした仕事っぷりも痛快そのものである。

そのキャラクターゆえに敵も多かったわけだろうけど、その才能は惜しまれるべきだろう。

Trackback URL


Comments

Comment form